妊婦におけるCOVID-19のリスクやワクチンの効果に関しては、以前の記事でご紹介しましたが、また新しい研究が発表されました。
Am J Obstet Gynecol
2021年3月24日; S0002-9378(21)00187-3。 土井:10.1016 /j.ajog.2021.03.023。
妊娠中および授乳中の女性におけるCOVID-19ワクチンの反応:コホート研究
目的: 妊娠中および授乳中の女性におけるCOVID-19 mRNAワクチン接種の免疫原性および反応原性を、(1)非妊娠対照および(2)妊娠中の自然COVID-19感染と比較して評価すること。
研究デザイン: 131人の生殖年齢のワクチンレシピエント(妊娠84人、授乳中31人、非妊娠16人)が2つの学術医療センターでの前向きコホート研究に登録されました。SARS-CoV-2スパイクおよびRBDIgG、IgAおよびIgMの力価は、ベースライン、2回目のワクチン投与、2回目のワクチン接種の2〜6週間後、および送達時に、参加者の血清(N = 131)および母乳(N = 31)で定量化されました。
結果: ワクチン誘発抗体価は、妊娠中および授乳中の女性と妊娠していない女性で同等でした。力価は、妊娠中にSARS-CoV-2感染によって誘発された力価よりも有意に高かった。ワクチンで生成された抗体は、すべての臍帯血と母乳のサンプルに存在していました。
結論: COVID-19 mRNAワクチンは、妊娠中および授乳中の女性に強力な体液性免疫を生成し、免疫原性および反応原性は非妊娠女性で観察されたものと同様でした。ワクチンによって誘発された免疫応答は、自然感染に対する応答よりも有意に大きかった。新生児への免疫伝達は、胎盤と母乳を介して起こりました。
新型コロナウイルスワクチンの優れた効果を示すこの結果は、初回のワクチンの臨床試験で対象外とされた妊娠中や母乳育児中の女性にとって大きな励みとなるものでしょう。
研究論文の共著者の1人は、「この研究により、新型コロナウイルスワクチンの接種により、乳児を保護する免疫を誘導できるという明確なエビデンスが得られました。この研究がきっかけとなって、ワクチン開発者が妊娠中や母乳育児中の人も臨床試験の対象に含めることの重要性を認識し、対象を拡大した研究を実施するようになることを期待します。」と述べています。
筆者も、臨床試験を拡大していって早く実際の接種に結び付けていって欲しいと思います。
ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンでは、2回接種後には、主に粘膜で病原体への感染を防ぐIgA抗体価が高いことが判明しました。
「新型コロナウイルスは鼻、口、目などの粘膜面を通して感染するため、この知見はあらゆる人にとって重要です。とりわけ妊娠中および授乳中の女性にとっては、IgA抗体は母乳中に含まれる主要な抗体であるため特に重要です。」とほかの研究者は、話しています。
妊婦さんにとって明るい結果であると思います。
ただでさえ妊娠というのは、妊婦さんにとって心身ともに大変な状態です。妊婦さんの安心の為にも、臨床試験をさらに拡大していって安全性と効果を確認したのちに接種を一刻も早く実施していただきたいと強く思います。