ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

ワクチン接種後の死亡はワクチンと関係ありますか?

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筆者の記事を読んでいただいてる方には、お分かりいただいていると思いますが、今現在、コロナのパンデミックを抑えられるのは、唯一ワクチンであると思います。

しかしそういう薬であるがゆえに、人体への影響も大きい場合があるということは、医師として予想していなければいけません。

最近アストラゼネカ社のCOVID-19ワクチンで血栓症の事例が発生していることは、皆さんもご存じかもしれません。

しかしながら、 mRNA ワクチンでは、血小板減少症から体の色々な部位に出血が発生する可能性があります。

1)

American Journal of Hematology
ファイザーおよびモデルナSARS-CoV-2ワクチン接種後の血小板減少症
イ・ウンジュ ダグラス・B・シネス テリー・ガーンズハイマー クレイグケスラー マーク・ミシェル …すべての著者を見る
初版: 2021年2月19日 https://doi.org/10.1002/ajh.26132


ファイザーとモデルナの両方のバージョンでSARS-CoV-2ワクチンを接種した後の明らかな二次性免疫性血小板減少症(ITP)の症例が報告され、世間の注目を集めています。
ワクチン接種後の血小板減少症患者の20例の報告、17例は血小板減少症の既往がなく、14例は入院前に出血症状が報告されており、米国疾病予防管理センター(CDC)、食品医薬品局(米国保健社会福祉省のFDA)、代理店システム(VAERS)、公表された報告、報告(HHS)ワクチン有害事象3、4患者や治療提供者との直接のコミュニケーションを介して。これらの症例は、新たに発症したワクチン接種後の二次ITPの疑いがあるとして調査されました。
「血小板数の減少」、「免疫性血小板減少症」、「出血」、「点状出血」、「挫傷」に関連する検索用語を使用して、VAERSで報告された症例を特定しました。

20人の患者のうち19人を説明するレポートには、年齢(22〜73歳の範囲、中央値41歳)と性別(11人の女性と8人の男性)が含まれていました。9人はファイザーワクチンを、11人はモデルナワクチンを接種しました。20人の患者全員が入院し、ほとんどの患者が点状出血あざ、または粘膜出血(歯肉、膣、鼻血)を呈し、ワクチン接種後1〜23日(中央値5日)に症状が現れました。
米国では毎年約5万人の成人がITPと診断されています。
ワクチン接種後に症例が偶然であった場合に見られるものよりも少ないか、ほぼ同等であるように見えます。
私たちのシリーズの1人の患者は、ワクチンを受け取る前の週に正常な血小板数が記録され、ワクチン関連の二次ITPと互換性のあるワクチン接種の13日後にのみ症状が現れました。
要約すると、非常にまれではありますが、ファイザーワクチンとモデルナワクチンがdenovo ITP(臨床的に診断されていない症例を含む)を引き起こす可能性を排除することはできません。現時点では、ワクチン誘発性ITPとワクチン接種直後に現れる偶発的ITPを区別することは不可能です。ワクチン接種後の血小板減少症の真の発生率を決定するには、追加の監視が必要です。

 

2)

COVID-19ワクチン接種後の免疫性血小板減少性紫斑病に関する警戒
Irish Journal of Medical Science
公開: 2021年3月31日

 

 2021年1月末までに、ファイザー/ BioNTechおよびModernaコロナウイルス病-19(COVID-19)ワクチンを接種した後、36例のITPがワクチン有害事象報告システムに報告されました。また、BMJの最近の報告によると、COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症の報告例は​​約150件あり、ファーマコビジランスデータベースに記録されています。COVID-19ワクチン接種と血小板減少症とのこの関係が偶然であるか因果関係であるかはまだ不明です。米国食品医薬品局および米国疾病予防管理センターは、ITPのCOVID-19ワクチン接種後の発生率は一般集団の発生率よりも高くはないと述べています。
コルチコステロイドと静脈内免疫グロブリン(IVIG)で治療されたこれらの患者のほとんどで好ましい反応が認められました。

 

ワクチン接種後のI T P の頻度は、一般集団の発生率より決して高くはありません。

しかし偶然の結果であると言い切れるでしょうか。 

 第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料 令和3年4月23日(金)

前回の合同部会(4月9日)以降、副反応疑い報告において、医療機関又は製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに4件あり、令和3年2月 17 日から令和3年4月 18 日までに報告された死亡事例は計 10 件となった。

 

この10例の内訳は、脳出血・くも膜下出血が4例、不明が2例であり最大6例の可能性があります。

 

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https://mail.google.com/mail/u/0/#inbox/FMfcgxwLtkVWjDCWVqWfxgWGhqvDMQCN?pr

上図が日本の死亡統計ですが、疾患発生が接種と関連あるかどうかは、数字上は判断不能です。

仮に関連があっても、発生頻度の上昇から、判断することはできません。

結局一般集団の発生率より高くないので、関係なしという結果になります。

非常にまれな頻度であっても、可能性があるのならば、一個人から見れば大問題です。国から見れば判定不能、保証なしという結果になります。

もし関係があるのならば、それを証明するのは、政治ではなく医学の責任であると思います。

 

間違えのないように申し上げておきますが、筆者はワクチン接種は、国全体・個人のリスクとベネフィットに鑑み、是非とも受けるべきであると思います。しかし皆さんも我々も、こういうまれな副反応が起きる可能性があることも考慮しておくべきであると思いますし、その時の症状(予兆)を覚えておくべきであると思います。特に我々医療者は。

 

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