ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

地域のワクチン接種

f:id:hiro_chinn:20201205211003p:plain

 

筆者の仕事場がある地域にもやっと高齢者へのコロナワクチン接種が始まるようで、医師会と市より連名で、接種担当医や事務員・看護師に対する説明会への案内がファックスで届きました。

我々医者も未定であるのに、総理が高齢者接種の開始日を発表したため医療従事者と並行して実施することになったものと思われます。

医療従事者は、日々の診療に加え、さらに接種時においてもコロナの危険にさらされるようです。まあこれも我々の宿命というところでしょうか。

諦めて地域住民のために頑張るしかありません。

そこで今までの知識の整理を含め、具体的に接種時における注意事項を列挙してみたいと思います。

ワクチン接種をお受けになる方にとって、接種する側の留意点が、ご自身が接種されるときの参考になるのではないかと思います。

 

 

新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/000744273.pdf

が厚労省より発信されていますのでこれに沿って記述していきたいと思います。

 

1)予診

接種実施医療機関等において、接種を行う前に予診票の確認、問診、検温及び診察を行い、予防接種を受けることが適当でない者又は予防接種の判断を行うに際して注意を要する者に該当するか否かを調べる。その際に、接種対象者が接種医の名前を確認できるようにすること。

予診の際は、予防接種の有効性・安全性、予防接種後の通常起こりえる副反応やまれに
生じる重い副反応、予防接種健康被害救済制度について、新型コロナワクチンの接種対象者又はその保護者がその内容を理解しうるよう適切な説明を行い、予防接種の実施に関して文書により同意を得た場合に限り接種を行うものとすること。

 

2)接種不適当者及び予防接種要注意者

予診の結果、異常が認められ、以下の接種不適当者に該当する疑いのある者と判断され
る者に対しては、当日は接種を行わないこと。

ⅰ 新型コロナウイルス感染症に係る他の予防接種を受けたことのある者で本予防接種を行う必要がないと認められるもの

ⅱ 明らかな発熱を呈している者(※)

ⅲ 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者

ⅳ 本予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者

ⅴ 上記に該当する者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

※ 明らかな発熱とは、通常 37.5℃以上の発熱をいう。

 

予防接種の判断を行うに際して注意を要する以下の者については、被接種者の健康状態及び体質を勘案し、慎重に予防接種の適否を判断するとともに、説明に基づく同意を確実に得ること。また、接種を行うことができるか否か疑義がある場合は、慎重な判断を行うため、予防接種に関する相談に応じ、専門性の高い医療機関を紹介する等の対応をとること。なお、基礎疾患を有する者については十分な予診を行い、基礎疾患の状況が悪化している場合等については、接種の延期も含め、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があること。
ⅰ 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者

ⅱ 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者

ⅲ 過去にけいれんの既往のある者

ⅳ 過去に免疫不全の診断がされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者

ⅴ 接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者

ⅵ バイアルのゴム栓に乾燥天然ゴム(ラテックス)が含まれている製剤を使用する際の、ラテックス過敏症のある者

 ファイザー社のワクチンのバイアルストッパーは天然ゴムラテックスで作られていないため、ラテックスアレルギーのある人にもワクチン接種は可能です。また、卵やゼラチンも含まれていないため、これらの物質にアレルギーのある人もワクチン接種は可能です 。

 

 

 

上記は、当日接種できない人と文書による同意を取って注意して接種する人の内容です。

 

drhirochinn.work

drhirochinn.work

drhirochinn.work

drhirochinn.work

drhirochinn.work

drhirochinn.work

drhirochinn.work

3)接種後アナフィラキシーに要注意

 

f:id:hiro_chinn:20210408141752p:plain

 

接種後の経過観察
接種後にアナフィラキシーを呈することがあるため、接種後少なくとも 15 分間は被接種者の状態を観察する必要がある。また、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある者については、接種後 30 分程度、状態の観察をする必要がある。
接種後に血管迷走神経反射として失神があらわれることがあるため、過去に採血等で気分が悪くなる又は失神等を起こしたことがある者については、接種後 30 分程度、体重を預けられるような場所で座らせるなどした上で、なるべく立ち上がらないように指導し、被接種者の状態を観察する必要がある。なお、予診の結果等から血管迷走神経反射による失神が生じる可能性が高いと考えられる者については、ベッド等に横たわらせて接種するといった予防策も考えられる。

とホームページに記述されています。

筆者の過去の記事でも記載の通り、この血管迷走神経反射は、非常に多いです。

アナフィラキシーの診断は、上記のブライトン分類に従います。

アナフィラキシーの疑いが少しでもあれば、ボスミン筋注が必要です。

最終的にはその場の医師の判断に任せてください。

ただアナフィラキシーは、アメリカのCDC&FDAのデータによりますと、最大20時間まで出現の可能性があるため、可能なら接種会場へは、ご家族同伴がより良いと思います。(帰りの乗り物の中で発症する可能性もありますので)

少なくとも接種会場には、30分はいてください。できればもっと。

高齢者の多くの方は、予防接種要注意者ですので、私が接種する患者さんにはそう申し上げるつもりです。

 

何度も申し上げますが、ワクチン接種時のアナフィラキシーは、適切に対応すれば命にかかわることも、後遺症を残すこともありません。

地域のかたがたに、安全に素早くワクチン接種が終了するように、微力ながら協力していきたいと思っています。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

f:id:hiro_chinn:20210403202444p:plain