ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

規則正しい生活を ❕

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規則正しい生活が健康にとって大切であるということは、誰でも経験上知っていることです。

感染予防上ももちろん有意義であると、皆さんわかっていることだと思います。

体内時計という言葉もご存じのことと思いますが、インフルエンザウイルスを正常マウスと体内時計が変異したマウスの鼻腔に入れて感染させた後、感染率、致死率、 N K 細胞数などが一日のうちの時間帯で変化するどうか調べたユニークな論文が出ました。

 

Circadian control of lung inflammation in influenza infection
Shaon Sengupta, Soon Y. Tang, Jill C. Devine, Seán T. Anderson, Soumyashant Nayak, Shirley L. Zhang, Alex Valenzuela, Devin G. Fisher, Gregory R. Grant, Carolina B. López & Garret A. FitzGerald
Nature Communications volume 10, Article number: 4107 (2019)

 

インフルエンザ感染症における肺炎症の概日制御

 

結果は、

① ウイルスの注入時間が人で言えば夕方群21%に対して朝方群71%の致死率でした。

② 時計遺伝子が変異したマウス(体内時計が壊れたマウス)の致死率は、朝方群75%、夕方群84%。

③ N K 細胞数が正常マウスでは、朝方群で低く、時計遺伝子変異マウスでは朝方夕方ともに低い。

となりました。

つまり

① 体内リズムを整えることは、ウイルス感染防御に重要である。

② 早朝はウイルス感染に十分気を付ける必要がある。

ということが、動物実験でわかりました。

 

もう一つは、人のインフルエンザワクチン接種時での研究ですが、


Vaccine
Volume 34, Issue 24, 23 May 2016, Pages 2679-2685
Morning vaccination enhances antibody response over afternoon vaccination: A cluster-randomised trial
Author links open overlay panelJoanna E.LongaMark T.DraysonbAngela E.TaylordKai M.ToellnerbJanet M.Lordc1Anna C.Phillipsa1

朝のワクチン接種は午後のワクチン接種よりも抗体反応を高める:クラスターランダム化試験

この研究は、ワクチン接種のさまざまな時期の最初の大規模ランダム化試験であり、朝のワクチン接種がインフルエンザワクチンに対する抗体反応を増強するという証拠を示しています。

この研究では、高齢者が毎年インフルエンザワクチン接種を受ける時刻を操作することが、1か月の抗体反応の大きさに影響を与えるかどうかを調べましたが、ワクチン接種が朝に与えられたとき、3つのインフルエンザ株のうちの2つに対する抗体反応がより高かったことを示しました。

このことがコロナウイルスにも当てはまるとすれば、より抗体ができにくい高齢者などに対しては、朝に接種すべきであるといえます。

(しかし接種時には、ウイルス感染に十分注意。ということが言えると思います。) 

 

皆さん、夜遅くまでブログを書いていないで、早く寝て、規則正しい生活を心がけましょう。 

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