ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

変異株の危険性

f:id:hiro_chinn:20210313083112p:plain

 

新型コロナ英変異株、致死率「格段に高い」=論文(ロイター) - Yahoo!ニュース

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/84519864481227580015a21ce0a623338cac86cd

英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された論文によりますと英変異株VOC-202012 / 1は遺伝情報の23カ所に変異があり、すでに100カ国以上で感染が確認されています。感染率は従来株より40─70%高いとされていますが、今回の研究結果で致死率も「格段に高い」ことが確認されました。

以下が実際の論文です。

 

Research
Risk of mortality in patients infected with SARS-CoV-2 variant of concern 202012/1: matched cohort study
BMJ 2021; 372 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.n579 (Published 10 March 2021)
Cite this as: BMJ 2021;372:n579
Read our latest coverage of

研究
懸念されるSARS-CoV-2変異体に感染した患者の死亡リスク202012/1:一致したコホート研究

 

「新しいバリアントVOC-202012 / 1による感染は、コミュニティでcovid-19が陽性であるとテストされた人々の死亡リスクの増加(P <0.001)と関連していました。他のバリアントよりも高い1.32から2.04の間のハザード比の増加は、死亡のリスクが32%から104%増加することを意味し、最も可能性の高いハザード比の推定値は1.64、つまり死亡のリスクが64%増加します

結論
懸念の変異種は、より伝染性であることに加えて、より致命的であるように思われます。これは、複数の遺伝子変異による表現型特性の変化に関連していると予想されます。」

などと書かれています。

以前より指摘されていた入国時の水際対策の甘さ。


news.yahoo.co.jp

 

今からでも、新たな世界各国の変異ウイルスに対して、入国時検査の厳格化を実行すべきであると思います。

 

drhirochinn.work

以前の記事でも書きましたが、感染の半数は無症候性または発症前の患者からと推定されています。無症状の感染者によって感染が拡大するリスクが高く、リスクの高い行動を周知することは依然重要となっています。

これに関してどのような社会活動がリスクになるのか、大体はわかっていたことですが、改めて注意喚起のためにレポートが出ました。

 

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2776937

 

米国において2020年半ばに外出禁止令が緩和された後、10州においてCOVID-19の検査を受けた18歳以上の成人を対象としました。検査時に有症状だった332例が登録され、最終的に314例を対象に電話調査を実施し、発症前14日間の行動を聞きました。

f:id:hiro_chinn:20210313080118p:plain

オッズ比が1とは、対象とする条件あるいは事象の起こりやすさが両群で同じということであり、1より大きい(小さい)とは、条件あるいは事象が第1群(第2群)でより起こりやすいということです。

上の表で O R が1以上で見ますと、

バーまたはカフェの利用
レストランでの食事
教会などの礼拝集会
ジムの利用

などが1以上で、感染確率が高く、

公共交通機関の利用
オフィスでの執務
10人以下での在宅

 は、1以下で感染確率は低いようです。

筆者は、以前から電車内での感染を心配していましたが、このデータではそれほど心配はなさそうです。(もちろんマスク着用は必須ですが。)

 ワクチン接種は、まだまだ時間がかかることでしょうから、今一度我々の感染防御習慣の徹底を図りましょう。

 

f:id:hiro_chinn:20210313083439p:plain