また面白い論文が出てきました。
Research
Effect of redundant clinical trials from mainland China evaluating statins in patients with coronary artery disease: cross sectional study
BMJ 2021; 372 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.n48 (Published 02 February 2021)
Cite this as: BMJ 2021;372:n48
研究
冠状動脈疾患患者のスタチンを評価する中国本土からの不必要な臨床試験の効果:横断研究
概要
目的:中国本土の冠状動脈疾患患者におけるスタチン治療を評価する臨床試験を特定し、それらの試験でスタチンで治療されていない参加者が経験した特別な主要有害心臓イベント(MACE)の数を推定すること。
参加者は、2577件のランダム化臨床試験に登録されたあらゆるタイプの冠状動脈疾患の250,810人の患者。
結論 中国本土から特定された冠状動脈疾患患者を対象としたスタチンに関する2000以上の臨床試験のうち、600人近くの死亡を含む追加の3000のMACEが、これらの試験でスタチンで治療されていない参加者によって経験されました。
不必要な臨床試験は資源を浪費し、とくにプラセボ対照試験の設定では、効果的な治療が受けられない患者に害を及ぼす可能性があります。科学出版物の最大の生産国となっている中国本土での臨床試験については、その必要性が深刻な課題になっていることが懸念されていました。
原著論文は、過去の研究論文と重複してはいけません。新規の結果を示すのが原則だからです。そうでないと、それは重複出版(redundant publication)といわれます。本研究は、中国本土の研究者が書いた原著論文で、80%が重複出版に相当することを示したのです。
近年中国の科学研究での目覚ましい発展が注目されていますが、政治、経済、外交、今回のコロナ感染症などすべての分野で異質の国ぶりを発揮しています。
この科学分野でもそうであったのかと思わされる、面白い論文でした。
原著論文で、80%も重複出版に相当するというのは、驚くべき事実です。
想像ですが、国家戦略として国が科学者に強いノルマを課しているのだろうと思いますが、そうであればなおのこと、そこから出てくる研究結果の信頼性が全く失われます。
早く我々と同じ価値観を共有する国になってほしいと思います。