ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

整形外科領域において M R I を汎用すべき 8つの理由

M R I とは Magnetic Resonance Image の略で、強い磁石と電波を用い生体を構成している水素原子から信号を取り出し、それを画像化する検査です。
体の中に金属(ペースメーカー、脳動脈瘤クリップ、人工関節、人工内耳等)が入っている方、妊娠中の方、などはM R I を受けれない場合があります。

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M R I を汎用すべき理由

1)全身の幅広い部位、特に頭部、脊椎、四肢の関節など比較的動きが少ない部位、整形外科では脊髄、脊椎、四肢の骨関節、靭帯などほぼすべての臓器、組織が検査対象となります。

2)上記した金属の入っている方や妊娠している方以外は、全く体に無害無侵襲に検査できますので、聞き分けがよければ小さいお子さんにも安心しておすすめできます。

3)子供の外傷でレントゲン検査ではわかりにくい若木骨折疲労骨折の検出に有効ですし、スポーツ外傷のシンスプリント(骨膜筋膜の炎症)と疲労骨折の鑑別にも威力を発揮します。
又、腰椎分離症の診断において超早期の診断は M R I にしかできません。
子供のスポーツ外傷の場合、ご家族やご本人からいつもきまって聞かれるのは、近日中にある大会や試合に出れるかどうかというものです。この質問にしっかり答えるためにも、できるだけ当日中に骨折があるかないかの厳密な判断が必要になります。

4)中高年の脊椎の新しい圧迫骨折は、レントゲン検査ではわからないことも多々ありますが、 M R I なら確実に診断できます。当たり前ですが、あるとなしでは治療方針がかなり変わってきます。

5)炎症の”場”がわかる: M R I 画像では通常 、T1強調画像とT2強調画像のセットで撮像しますが,T2画像では水や液性成分や脂肪が白く見え、脂肪抑制画像を撮ると液体部分のみがわかります。炎症があると水っぽくなり、本来液体が多くない所であって浮腫でなければ、そこに炎症があるということになります。
例えば足首を腫らして患者さんが来られたとします。この場合関節炎で腫れているのか、皮下が腫れているのかわかりにくいときがありますが 、M R I を撮れば一発でわかります。

6)昨今、スポーツ愛好家が増えており筋挫傷(肉離れ)も多くなっていますが、範囲が広範に及ぶ場合は超音波検査ではわからず M R I でなければ描出できません。また、この M R I 画像では筋挫傷の型分類が決まっており、それによって大まかな治療方針や予後がわかります。

7)整形外科では、軟部腫瘍の診断も大変重要で、画像診断としてはレントゲン検査と M R I が基本ですが、とりわけ M R I はその診断において C T より優れ、大きさ、増殖パターン、辺縁、均一性などを無侵襲に評価できます。

8)R A (関節リウマチ)の診断に関して、身体関節症状と血液検査でスコアリングして診断しますが、実際の外来診療場面では迷う場面も多々あります。この時、造影M R I(関節炎、骨びらん、骨髄内浮腫などを検出)は、有力な補助診断になります。



M R I は、外傷性疾患、変性疾患、腫瘍性病変など、あらゆる疾患においてその診断能が非常に高い検査装置です。
確かに医療経済も大切ですが、医療医学の基本は診断と治療。その診断において整形外科では、 M R I という画像診断がとりわけ重要であり、できるだけ M R I を使って精度の高い診断をすべきであると思います。
的確な診断がないと治療日数が伸びたり、遷延化、重症化してその治療にかえって医療費がかさむ可能性があります。

以上 M R I を汎用すべき 8 つの理由を書いてきました。
実際にけがや病気になって医療機関を受診する際に、少しでも参考になれば大変うれしく思います。





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